第67回 物性若手夏の学校 講義E「周期駆動量子系の物理」

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概要

物質の性質を自在に設計・制御することは凝縮系物理学の究極の目標の一つといえるが、物性制御の新たな可能性を切り開く試みとして、光誘起相転移の研究が挙げられる。新たに光という自由度を導入することは、単に既存の相図に新しい軸を加えることに留まらず、動的に物性をスイッチングできる可能性をもたらしたり、強い外場によって起こる非平衡現象を利用することで平衡状態では思いもかけないような状態を実現させたりといった、質的に新しい物理を生み出す舞台を提供する。

一般には強い外場のもとでの非平衡状態を微視的な理論に基づいて解析することは困難であるが、外場が時間に関して周期的である場合には、Floquetの定理を用いて非平衡系のダイナミクスを実効的な平衡系の問題と対応づけることで、多くの情報を引き出すことができる。特に近年では、外場のもとで異なる時刻のハミルトニアンが非可換となることに起因する量子効果によって、トポロジカル量子相をはじめとするさまざまな新奇相が実現される可能性が議論されている。

本講義では、周期外場に駆動された量子系を対象として、Floquet理論を用いた物性の解析方法や、様々な新奇量子相の実現方法の理論提案について基礎的な部分から解説する。

講義資料